サンデー山口

評論社
絵と文：Ｆ・アッシュ
訳：山口　文生
　無邪気なクマくんと友だちのコトリが出てくるシリーズの一冊。
　夏のある日、クマくんはコトリと一緒に月を見ながら「ぼくさ、お月さまを　ぱくっとかじってみたいんだ。きっと　おいしいだろうなあ！」と言いました。コトリに「お月さまなんかおいしくないよ」と言われますが、クマくんは試してみることに。まずはスプーンを矢に取りつけ月をめがけて発射。これは失敗。次は二人でロケット作りに挑戦。秋になっても仕上がらず、コトリは残念そうに南へわたっていきました。クマくんも冬眠の季節を迎えましたがそれでも頑張り、ついに完成！　ロケットに乗りこみ、いざ秒読み開始。ところが数えおわらないうちにぐっすり寝入ってしまいました。この計画も失敗かと思いきや、意外な展開によってクマくんは願いどおりお月さまを食べることができたのです。
　突拍子もない思いつきに真剣に取り組み、納得のできるおさまり方をする見事なストーリー。肉太の輪郭に囲まれたおだやかな色合いの絵が、このお話にあたたかみを添えています。