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2002年05月19日

札の辻・21

 ことしは大型連休を含む5月上旬に天候不順の日がつづいた。
 曇、曇、曇後雨、曇、曇、雨、雨、晴、曇後雨、雨、曇、曇、雨。これが4月28日から5月10日までの気象記録である。5日のこどもの日だけが五月晴となり、鯉のぼりが薫風に躍る姿を見せたのは救いであった。
 季節のことばが、きびしく定められている俳句では、雨だけでは季語にされていない。日本の雨は四季を通 じ各々に独特の風情があって、戦前の文部省唱歌「四季の雨」にもあるように、「降るとも見えじ春の雨」と、芽吹きのみどりを煙らせて降る雨を春雨としている。
 春雨を科学的に分析すると、中国大陸の黄土砂漠地帯で発生した砂アラシが上空に吹き上げられ、北西の季節風に乗って朝鮮半島から日本列島にまで到来する黄砂が検出される。黄砂は雨が降るのに必要な氷晶核の役割を果 たしているといわれる。氷晶核とは、水蒸気を凝結させ雨滴をつくるための心核を指す。この春は4月の中下旬に連日の如く黄砂が訪れているから、菜種梅雨とも呼ぶ長雨の要因は黄砂にあるかも知れない。

 雨はふるふる  城ケ島の磯に  利休鼠の雨が降る

 大正2年4月、一家をあげて湘南は三浦半島の三崎に移住した北原白秋は、傷心を抱きながらこの詩を書いている。
 井上靖の「本覚坊遺文」によると、茶人千利休は黒みがかったみどり色と、みどり色を帯びたねずみ色を好んだので利休色とも呼ばれたという。
 連日、雨の中に独居していると、城ケ島ならずとも青葉闇が利休色に見えてくる。   (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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