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2016年07月23日

札の辻・21

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

 梅雨が明けると、わが家でも風鈴の登場となる。以前は南部鉄器製の風鈴を軒下に下げ、鉄独得の、透き通るような長い音を楽しんでいた。
 しかし、高齢となり、鉄器の風鈴は吊り下げるのが重く感じられるようになり、ここ数年は浅草のほおずき市でほおずきと一緒に購入したガラス製のものに変わっている。
 風鈴のように、夏は他の四季に比べ、音で季節を感じるものが多い。
 セミの鳴き声、打ち上げ花火、祭りの太鼓、夕立の雨足、どれもにぎやかで、暑い夏にふさわしく感じる。
 子供の頃の夏の音といえば、真っ先に思い出すのが、わが家のすぐ近くを流れていた川のせせらぎである。
 食事時以外はこの川で泳いだり、魚を釣ったりして日がな一日が過ぎたものだ。遊び疲れてひと休みしていると、セミの鳴き声の合間に、カジカカエルの何ともきれいな鳴き声がコロコロと聞こえてくる。
 アイスキャンデー売りのおじさんは、鈴を鳴らしながらやってきた。
 山あいの里の夏の音は静かで、素朴さに包まれていた。
 最近はすっかり耳も遠くなり、季節の音を楽しむどころか、会話にも不自由する始末。
 山口市内は今頃、お祇園様の祭りの音も流れているだろう。私が夏の訪れを感じるのは、ガラスの食器の冷奴である。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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