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2002年05月26日

札の辻・21

 五月尽。下旬にやっとさわやかとなった5月も、蛍の夜が果てると入梅となり、やがて炎暑に向かう。
 いまの時季によく見られたあのゴッホ画く「麦秋」の田園風景も少なくなり、麦ワラでつくる麦笛の音色も聞こえず、また蛍篭も姿を消している。

 分け入っても
 分け入っても青い山
        山頭火

 麦秋は遠くなったが、山は青葉、若葉である。
 1926年初夏、山頭火は色褪せた法衣と、破れた網代笠の姿で、熊本から高千穂山地を越え、日向路へとたどる山並みの道を行乞行脚した。迷いに生き、酒に生きながら素朴に自然の中に句を求めた旅である。
 お隣りの韓国にも19世紀末に朝鮮半島各地を放浪しながら、鋭い風刺と哀歓のある詩作を続けた金笠という詩人がいた。
 彼は名門旧家で没落した生家の生活苦から逃れて出奔し、足の向くままに一カ所に定住することの無い笠と竹杖による托鉢の旅の中で、人に請われて詩を書き、路銀を得ると酒代にするという放浪の果 てに、路傍で野たれ死にをし孤独な一生を送った。

 山深く水深く
 旅人の愁いも深い
 暮れ方の湧水を飲むと
 月が唇に掛かった

 これは金笠が金剛山に滞在したときの詩である。
 没後130年、”朝鮮の山頭火”と呼ばれるこの詩人が、いま韓国では異常なほどの脚光を浴び、「金笠」という銘柄の焼酎が造られ、居酒屋の店名にもなるという状況で、山口の地酒山頭火にも通 じるものがある。
 人間至る所青山(墓所)ありと僧月性は言った。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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