アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 87人

店長情報 トップページ
店長情報

2002年07月07日

札の辻・21

 わが書斎に風変わりなものが2つ存在する。
 ひとつは磬石と呼ぶ長さ20センチ、幅五センチほどの矩形の石である。学名を「サヌカイト」という。この石は叩くと高い金属音を発する。サヌカイトとは「讃岐の岩」という意味で、世界中で香川県にだけ産する。1891年にドイツの地質学者ヴァインシェンク氏が調査発見、サヌカイトと命名し全世界に紹介した。
 磬石は大小さまざまな形をした自然石で、巨大な岩と岩の間にはさまれており、これをこわれないように掘り出すには注意が必要で、万に一という稀少価値のものだという。
 今から約1500万年前、瀬戸内海がまだ陸地であった頃、火山帯の大爆発で流出した熔岩の一部が磬石層となったもので、昭和の初期には音階の出る石琴として製作されるようになり、英国の皇太子にも献上されている。
 私は高松市のテレビ局からゆずりうけ、書棚に吊してやはり磬石で作られた小さい槌で叩き、音階の高低を時折り楽しんだりする。
 いまひとつはサイカチの莢を帯状に連ねて書斎の柱にぶらさげている。
 サイカチ(皀莢)はカワラフジノキとも呼ばれ、本州から九州にかけての山野や川土手に自生する。マメ科の落葉高木で、5、6月に淡黄色の小さい花を房状につける。果 実は長さ30センチにも及ぶ固くねじれた莢に包まれている。わがサイカチは、実のはじけたあとの莢だけのもので17個ある。この莢は数年前の秋、ソウルの市街地にあるサイカチ並木で拾ったのだが税関は無事通 過した。
 磬石の音色に太古の瀬戸内陸の広大さを、またサイカチ暖簾に紺青のソウルの秋天を連想しながら、梅雨じめりの部屋に無聊をかこつ日々である。 (鱧)


同じカテゴリー(札の辻)の記事画像
札の辻・21
同じカテゴリー(札の辻)の記事
 札の辻・21 (2016-07-30 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-23 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-16 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-09 00:00)
 札の辻・21 (2016-07-02 00:00)
 札の辻・21 (2016-06-25 00:00)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。