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2002年07月14日

札の辻・21

 東京の孫が朝顔市で買った1鉢が届いた。
 7月6日から8日まで、浅草入谷の鬼子母神境内で恒例の朝顔市が開かれる。江戸時代には入谷田圃と呼ばれていたこの周辺では、朝顔の栽培がお百姓さんの間で行われていたが、明治から大正に至って都市化が進み、田圃と朝顔が消えた。終戦後、地元有志の努力で朝顔づくりが復活し、現在では江戸川区や葛飾区の業者が栽培した朝顔を、行燈仕立などにして掛け声高く早朝から売り出す市が立ち、江戸の夏を偲ぶ風物詩となっている。

 銭湯で聞く朝顔の  うわさかな   子規

 薬用として遣唐使により渡来した朝顔の種子は、元禄時代からは観賞用栽培が盛んになり、西南中国大陸からヒマラヤに原生する植物が、より大輪へ、また多彩 を競うようになり、栽培家たちの間では大輪派と、変わり咲き派に分かれているという。
 ところで朝顔は光化学スモッグの被害調査にも利用される指標植物となった。オキシダントを吹きつけられると、朝顔は葉が枯れはじめ、全面 に漂泊斑が現れて、夏を終える頃には無惨な姿に変わる。このため朝顔による公害調査は、中学生等の協力を得て関東6県をはじめ全国的となった。 東京都公害研究所にある調査用の朝顔は、スカーレット・オハラと呼ばれている。これは映画「風と共に去りぬ 」のラストシーンでオハラが「明日は明日の風が吹く」とつぶやいたセリフから命名されたと聞くが哀感がある。
 送ってきた朝顔には”団十郎”という花名があった。歌舞伎界の名門、成田屋市川団十郎の代々が使用する羽織の色エビ茶に由来するとか。梅雨あけの花が見たい。      (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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