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2003年02月02日

札の辻・21

 謡曲『和布刈』は関門海峡に相対する下関側の住吉神社と、門司側の和布刈神社が、各々旧暦の元旦に海峡の急潮の中から新ワカメを刈り、神前に供えて豊作を祈る行事を描写 したもので    地謡 神主松明振り立てて。御鎌を持って。岩間を伝ひ伝ひ。下って半丁ばかりの海底の和布を刈り。……云々」と語る。実際に現場では神官のかざす松明の炎が波間に映え、渦巻く潮音が春のきざしをつげる。
 この祭りが終わり、三寒四温の日が繰り返されるようになると、関門海峡だけでなく、角島など北浦でもワカメ刈りや岩ノリ採りがはじまる。
 早春の頃、山陰線の列車に乗ると、日本海に面した漁港の近く、沖に伸びる幅の広い岩礁 で、岩ノリを採る女性たちの姿を車窓に見ることが多い。春は潮の干満の差が大きく、大潮の日には夜も明けやらぬ 暁闇の海での作業がはじまる。しかし、立春を過ぎても寒気は去らず、ときには吹雪く日もあるのだが、寒潮の中で採れた岩ノリはとくに香りが高く、味覚もすぐれているとされる。
 食通で知られた北大路魯山人は「日本海の海苔岩で採れた寒海苔を、熱い御飯に乗せ、それにワサビをすりおろし、生醤油をたらして茶を注ぐとうまい。御飯をノリで巻くだけで食べる人はいるが、茶漬けはあまり見かけない。茶の代わりにカツオと昆布のダシ汁をかけてもいける」という。
 このほどグルメの友人から、萩沖見島で採れた新岩ノリが届いた。その日本海の孤島では、対馬暖流にめざめた水仙も咲きはじめているはずだ。
 豊饒の海に春がさきがける。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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