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2003年02月16日

札の辻・21

 先日新聞の夕刊に俳人宇多喜代子(徳山出身)の季語に寄せる随想があった。内容は歳時記の季語がもつおもしろさを識り俳句をつくっている側と、俳句についての知識を全く持っていない若い人たちの、季語から受ける解釈の違いを対比したものである。
 さて、新年の季語に「国栖奏」(くずそう)がある。一般になじみの薄い季語だが、歳時記によれば、国栖奏とは奈良県吉野町国栖地区にある浄見原神社で、1月14日に古くから伝承されている国栖の笛を奏でる神事のことだという。
 歳時記とは四季の自然や習俗を、季語として春、夏、秋、冬、新年に分類整理したもので、明治の末ごろから活用されるようになった。
 現在、俳句界では歳時記の季語を再検討し、季節感のズレているものや、古くなって現存しないものなどを見直すと共に、新季語を加えようという動きもあり、その反面、絶滅寸前となっている季語を守ろうと「絶滅寸前季語保存委員会」という組織もできている。
 前記の国栖奏のように難解な季語を拾うと、

●鞦韆=ぶらんこ。古くは中国から渡来した殿上人の遊戯。ふらこことも。季は春。
●虎落笛=物干し台の竹竿、竹の垣根、電線などに強い北風が当たって発する笛のような音のこと。季は冬。
●鎌鼬=冷たい寒風が手足に触れると皮フが裂け出血する。昔はイタチに似た妖獣の仕業とした。あかぎれとも。季は冬。

 これから春に向かう季語には、満天星、独活、虎杖、萵苣など難読植物がならび、そのほか海雲、鹿尾菜とくる。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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