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2003年05月25日

札の辻・21

 ことしも河骨の黄色い花が鮮やかに咲いた。
 河骨は多年生の水草で湖、沼、池などの浅い場所に自生する。初夏の頃水面に伸びた花茎から丸っこく黄色い花をつける。丈夫な根茎を折ると白い骨に似ていることから、河骨又は川骨と呼ぶようになったらしい。
 一昨年知人から株分けしてもらい、大きめの水がめに土と水を入れて植えた。俳句の季語では夏の花なのだが、ことしは晩春の気温が高かったせいか早く花を開いた。
 河骨の二もと咲くや
 雨の中    蕪村
 この句のようにわが家の河骨も二輪である。
 東北地方では、この地下茎を薄く切り、ゆでて水にさらし揚げ物やミソ汁の実にし、ワカメ状になっている水中葉は洗って刻み、油いためにすると聞いたが、可憐な黄色い花の風情からは想像もつかない。
 晩春から初夏にかけて咲く花には黄色いものが目立つ。カタバミ、ミヤコグサ、エニシダ、キンシバイなどだが、山口盆地を囲る山々に多いシイノキも、この時期にはむせ返るほどの匂いを漂わせて黄色い花をつけ、遠目には黄金色に盛りあがって見える。
 以前、大手町に住んだ頃、亀山公園を散歩すると、花をつけたシイノキの樹間に巣箱があり、箱の主人は大体ヤマガラであった。野鳥の本によるとヤマガラの嘴はシイの実の大きさに適応しており、ヤマガラとシイノキの関係は深いとある。
 洋画に「黄色い大地」「黄色いリボン」、邦画に「黄色いからす」「黄色いハンカチ」と映画にも黄色い季節があった。
(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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