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2003年06月22日

札の辻・21

 初夏の果物のひとつにサクランボがある。桜桃と呼ぶ。時期が短く6月いっぱいで7月には姿が消える。
 サクランボは冷涼の気候を好み、成育中に雨の少ないところが適しており、主な生産地は山形県と北海道である。山形では6月になると早生種の「日の出」が出回り、「佐藤錦」「黄玉」「高砂」とつづく。本命の「ナポレオン」は6月下旬の登場となる。
 作家の太宰治は東北人らしくサクランボが大好物だった。
 彼が戦後の混乱期に愛人の山崎富栄と、玉川上水で心中したのは6月13日、ふたりの遺体が発見されたのは6日あとの19日だった。友人の作家今官一が太宰の好物から命日を桜桃忌とした。墓は三鷹市の黄檗宗禅林寺にある。
 桜桃忌には今も若い女性を含む太宰ファンが多く集まる。この墓前では無頼派と呼ばれた作家田中英光が自殺した。
 遠き日の石に刻み
     砂に影おち
 崩れ墜つ天地のまなか
     一輪の花の幻
 原爆詩人として広島の平和公園に詩碑が建つ。
 太宰治の墓のすぐ近くには森鴎外の墓もある。ただ「森林太郎」と本名が刻まれているだけなので、鴎外の墓だと気づく人は少ない。
 その鴎外の好物は「饅頭茶漬」だった。長女の森茉莉によれば、「父は変わった舌を持ったのか、饅頭を二つに割り熱い御飯の上にのせ、煎茶をかけて美味しそうにたべた。渋く甘く粋で禅味に通じるといった」と。とくに葬式饅頭を好んだというが。
(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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