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2003年08月24日

札の辻・21

 ことしはサンマの出足が早い。
 7月の下旬に湯田の割烹の主人が、サンマの活きの良いのが入ったからと届けてくれた。
 佐藤春夫にサンマの歌がある。

あはれ秋風よ
心あれば伝へてよ
男ありて
今日の夕餉に
ひとり
さんま喰ひて
想ひにふけると

 サンマの旬は9月の声を聞いてからと思っていたが、到来モノはハシリにしてはよく太り、白銀色の肌も見事で、早速刺身と塩焼にし、スダチをたらして食べたがおいしかった。
 丁度その頃、テレビニュースでも釧路漁港に水揚げされる新サンマが映し出され、魚市場の人はサンマが例年より少し早く姿を見せたが、冷夏で水温が低いからだと思う。でも生育はよく脂肪の乗りも十分だと話す。
 気象庁は8月11日に東北地方は梅雨あけがなく、すでに秋の気配を感じるようになっていると発表した。
 東北地方に梅雨あけがなくて心配だが、北の海の漁獲量と味にも変わりがないことを祈りたい。 
 コンロでもうもうと煙をあげながら、庭先でサンマを焼く風景は見られなくなったが、煙もサンマの味をひき立てるのだと昔気質はいう。
 「サンマは目黒に限る」といった落語の殿様の話は史実で、殿様は三代将軍家光、目黒の原野で鷹狩りをしての帰途に茶店でサンマを食べたことが、当時の茶店島村家に「将軍御節記録覚」として残されている。
 短い夏は早い秋へ。サンマについでサケ、カニと、新涼の風に乗せて味覚のレーダーが北の味を伝えてくる。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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