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2004年01月25日

札の辻・21

 あと少しで寒明けとなるのだがまだ寒い。陽暦と陰暦を比較すると、後者が自然の歩みに近いような気がする。
 その寒気きびしい朝、近くの畑に黄色い花が咲いているのを見かけた。採り残されたチンゲンサイの茎が伸びて、霜にもめげず花をつけたものとわかった。
 チンゲンサイと同じように白菜も茎が伸びると黄色い花をつける。
 白菜に思い出がある。詩人草野心平が小石川の後楽園近くで、「火の車」と名付けた屋号の小料理屋を出していた頃、心平料理は檀一雄と双璧で、自己流の独創的な料理が受けていた。その中に「白夜」と呼ぶ一品があった。牛乳に煮込んだ白菜のことである。戦後間もない時代で、油障子だけの寒い店のとまり木で食べる牛乳に浮いたやわらかい白菜は、ほのかに郷愁も感じる暖かさを客は喜んだ。
 白菜と同じアブラナ科で季節を代表するのは菜の花である。
 花を愛でて菜の花と呼ぶが、もともとは種子から油を採ることが主体であったが、最近では日本の自然の中で、菜の花とモンシロチョウは春の風物詩の代表格となった。
 菜の花マラソンのある鹿児島の指宿では、師走の頃から菜の花畑の写真が新聞に載っている。
 司馬遼太郎は作品に「菜の花の沖」があるように菜の花を愛した。友人の高峰秀子は、氏の誕生日には必ず菜の花を贈り、菜の花が手に入らないときは黄色いバラにしたという。
 霜を被って咲くチンゲンサイの花に、凛烈ないのちを感じる朝だった。2月12日は司馬遼太郎の「菜の花忌」である。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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