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2004年02月08日

札の辻・21

 本紙の寄稿家である満語漫語氏が、自作の畑にできたと大ぶりで見事なダイコンを持参、ひとしきりダイコン料理の話に花を咲かせた。
 ダイコンはアブラナ科に属する根菜である。原産地はコーカサス地方と聞くが、日本でも古くから栽培され、万葉集にも仁徳天皇の皇后の美しさを讃えて、大根(オオネ)のように白く美しい肌と表現しており、また春の七草のスズシロもダイコンの別称でその白さからきている。
 ダイコンは風土に適した独特の開発がされ、北海道から九州まで全国的に栽培されたのは甘味の強い宮重ダイコンであった。
 その宮重をさらに改良し、関東ローム層の耕土の深い畑で育てられたのが練馬ダイコンである。
 だが練馬ダイコンも主産地の東京都練馬区が都市化され、往年のダイコン畑は姿を消して、現在では練馬区春日町の愛染院前に「練馬大根記念碑」が建てられているのみとなった。
 ダイコンについて日本人は、いろいろと食べる工夫をしてきた。
 おろし、なます、ふろふき、煮しめなどで、加工貯蔵としては、切干し、たくあん、べったら漬、寒漬が、また秋田ではイブリガッコと呼ぶ薫製状に漬け込んだのが、雪国らしい珍味として受けている。
 ここで池波正太郎流のダイコンと油揚げの小鍋仕立てをひとつ。
 鶏の出汁を張った小鍋をコンロにかけ、中へ輪切りのダイコンと細かく切った油揚げを入れる。ぐつぐつ煮えてきたら小皿にとり七味を振って食べる。風の音に春はまだ遠い。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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