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2004年04月25日

札の辻・21

 先日、仁保川の下流は中川橋近くで、市内の幼稚園児200人が、椹野川漁協の用意した稚アユ5千尾を放流した。
 紅茶色の若芽を吹き出したイタドリの群落のある河原に、園児たちの元気ではずんだ声が流れた。毎年行われる行事だが姫山のヤマザクラも散り、行く春の名残と若葉の初夏へと移る時期がないまぜになって、稚アユの朔上につながる新しい季節感を呼ぶ。
 イタドリは人間のいとなみを追いかけるように、開拓地や道路工事の土壌に、いち早く定着し繁殖する植物である。だから農道・林道の道脇や標高のある登山道から山頂にまで姿を見せる。よく育つと2に伸びる宿根草で、中身は管状になっており、このため方言でスカンポとも呼ばれている。呼称のごとくポコポコと折れる。
 イタドリは漢字で「虎杖」と書く。若い茎の表面に赤味を帯びた斑点があって、いかにもトラの姿態を連想するからだろう。
 東北や信越地方ではイタドリを適当な長さに切り、塩を振って漬け込み山菜漬のひとつとする。
 山菜といえば湯田温泉のホテル 良久の社長だった中村孝藏さんを思い出す。
 山菜マニアの中村さんは時期になると山口周辺をはじめ島根県境にまで山野草を採取した。
 イタドリは勿論、ゼンマイ、タラの芽、ノカンゾウ、ウド、ワラビ、オオバギボウシ、コシアブラなどを、天ぷらやゴマ和えにして食べさせて頂いた。腕まくりをして山菜を揚げながらの海軍話がなつかしい。その中村さんも今は亡く新緑が眼に沁みる。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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