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2004年06月13日

札の辻・21

 クスノキを素材にして、半身像の顔に大理石の眼球をはめ込む独特の技法を創造し、国内外で高い評価をうけている彫刻家船越桂の作品展を、会期の最終日に広島現代美術館で鑑賞した。
 船越桂はこの展覧会の開催にあたり「森からきたささやき」という言葉をテーマとし、山出しのクスノキの原木が、作者の手により新しい生命を得、さらに会場でそれぞれの言葉を語りかけ「ささやき」となって人々に伝わるようにと願いをこめた。
 彼はかつてある修道院に依頼された聖母子像を作るとき、クスノキと出会い、この木なら何でもできると直感し、全く自由にこれまでにない人間像を彫ることができた。
 彼の作品は高村光雲や平櫛田中のように、ともすれば置物的な印象をうける近世日本の彫刻の伝統とは距離をもっており、西洋流のブロンズや石彫でもない独自の気品がある。それはクスノキという森から贈られた素材の自然性を人間性に結びつけ、木肌の色を活かした胴体には、部分的に樹皮が残されていたりして作品によっては近寄るとまだクス独特の芳香が残るものもあった。
 また会場にはクスノキの素材と、愛用のノミも幾種が展示され、無造作と緻密が調和した空間をつくっていた。
 美術館を出ると爆心地から2キロ、原爆の直撃を奇跡的に免れた比治山公園の原始林である。この森にはクスノキが多い。いずれも数百年を経た大樹でヒロシマの空に大きく枝をひろげていた。
 イーデス・ハンソンは樹勢のあるクスノキの野性味が目茶苦茶に好きだという。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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