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2004年06月27日

札の辻・21

 山口県の北浦地方に夏到来をつげるウニ漁が、和久、島戸、阿川など響(ひびき)灘沿岸で始まった。
 梅雨どきから旧盆の八月中旬頃までの海は、他の季節にくらべるとおだやかな日々が多い。トビウオが翼をひろげて直線的な滑走を見せるのもこの時期である。
 ウニ漁の人たちは水中眼鏡やガゼヒキと呼ぶ漁具を持って干潮時をねらって海に入る。ガゼヒキのガゼとはウニの方言で、北海道から東北、関東、北陸にかけてもガゼだが、青森と岩手では濁らずにカゼである。方言でもわかるようにウニは北海道から九州まで、全国的に産地はひろがり各々にお国自慢の味を誇っている。
 作家で食味随筆の塩田丸男氏は、山口県豊北町阿川の生まれで、山口県の北浦産のウニがもっともうまいと「ニッポンの食遺産」に書く。
 百科辞典によると、「響灘は対馬暖流が北東に流れ、角島、蓋井島、六連島などの周辺はサバ、イカ、ブリなどの好漁場である」と記されているが、さらに対馬暖流の影響をうける向津具半島や見島も好漁場で美味いウニが水揚げされる。
 ウニはナマコと同じ棘皮動物で、イガ栗のような姿で浅い海の岩礁のくぼみや岩陰などに生息するが、行動範囲は割合ひろく、とくに夜間は餌をもとめてよく動く。英語ではシー・アーチン(海のいたずらっ子)、フランス語ではウルサン(仔熊)という。
 磯釣りに行き、大潮の干潮時となって、岩間の潮溜りにウニを見つけ、直(すぐ)に割って食べた味が今も舌に残る。
 コノワタ、カラスミと共に三珍と呼ぶ。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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