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2004年09月05日

札の辻・21

 ヒグラシからツクツクボウシになり、そのツクツクボウシの声も細くなった。庭先に植えた朝顔も在来種はすでに枯れてシルクロード種だけが元気に濃紫色の花をつけている。
 風も新しく感じる夕べの食卓にサンマが登場した。北海道釧路沖で水揚げしたもので匕首を思わせる銀色の肌とつぶらな眼が生きていた。
 サンマは冷水性の回遊魚で、秋を迎え暖流の勢力が弱まり寒流が南へ張り出してくると、釧路沖から三陸沖-房総沖-伊豆沖-紀州沖-四国・九州沖まで、晩夏から初冬にかけて日本列島の太平洋側を主に南下し、サイラ、マルカドなどと地方によって呼称が変わってくる。
 これから産卵期に入るので脂肪がのり尾ビレも黄色くなって美味くなる。料理は塩を振っての炭火焼がいちばんと思う。サンマの脂肪が燃え落ちる煙で燻製の如き風味が加わる。これにおろし大根とスダチ又はカボスを添える。
 煙りまた味の一つや
 初秋刀魚    狩行
 江戸の昔からサンマは庶民に圧倒的な支持をうけてきた。
 天皇家でも歴代にわたり魚はタイなど白身に限られていたが、昭和天皇になり赤身やサンマが食膳にのぼるようになったと聞く。
 思い出がある。以前房総九十九里浜の釣宿で、とれたてのサンマの身と骨とワタまで一緒に包丁の背でつぶしミソとシソの葉を刻んで混ぜたいわゆる「サンマの叩き」の漁師料理を食べたが、はるかなる潮路の味覚だと思った。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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