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2004年12月05日

札の辻・21

 光陰矢の如しのことばどおり、すでに師走となった。
 四季のない町は日本の町ではないと池波正太郎は言っている。東京下町の職人の家に生まれた池波は、年の暮れともなるとどこの家でもつつましいくらしの中で、畳の表替えや障子貼りをするので、子供ながら手伝いをした思い出があり、障子の骨に糊をつけるとき、そこはかとなく歳末の雰囲気を感じたという。
 昔風の日本家屋は紙と木で出来ているといわれ、その典型が障子であり湿度の高い日本の夏と寒気のきびしい冬を調節する。とくに冬日のあたる白障子はやわらかなぬくもりをもつ。
 先日友人の案内で奥津和野にある堀庭園を見学した。
 津和野の町から約10㌔、江戸初期この地域に笹ケ谷銅山があって、幕府は天領に指定し石見の大森銀山支配下に置き堀家を銅山年寄役とする。以後堀家は17代300年にわたり天領差配家としての歴史を刻むことになった。
 その広大な屋敷は長屋門、母屋、客殿、土蔵からなり、裏山を借景にした回遊式庭園の池には大型の真鯉・緋鯉が泳ぎ、庭の中央には樹齢300年の楓の老樹が初冬の空に紅葉の枝をひろげていた。客殿は「楽山荘」と呼び明治に建てられた純和風2階づくりで、建材は栂、赤松、杉、桧を用い浮き出た木目が見事で純日本的な建築美がうかがわれた。
 帰路、冬ざれの野に働く人影を見て、堀家の資料室にあった江戸期の農民に対する掟の高札を思い出し、天領の歴史の陰に生きた村人達の姿が重なってきた。         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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