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2005年01月09日

札の辻・21

 仁保川の河畔に住み川になじむと季節ごとの表情を感じるようになり、新年また然りである。
 冬期には意外に川霧が発生し乳色の朝を迎えることが多い。非常に冷たい空気が比較的に暖かい水面に近づくと、川面から水蒸気が生まれて霧となる。上杉謙信が「鞭声粛々」と夜霧の千曲川を渡ったのは1561(永禄4)年の晩秋であった。
 同じ川でも上流から河口に至るまでには、飛沫をあげる渓流があり、集落にまとわりつくように流れる里川ともなる。
 わが家近くの川ではいま冬鳥のカモたちが遊んでいる。カモのオスはいずれも羽色が派手であり、寒くなるにつれてその色は濃くなってくる。カモは秋に飛来した当時にはオスとメスが雑然と群れをつくっているが、次第に群れの中からカップルが目立つようになり、春が来て渡り鳥の旅立ちがはじまる頃には、ほとんどの個体が二羽連れとなって行動する。
 彼らは冬の間に夫婦となって繁殖地に帰り、北国の短い夏の間にヒナを育てるためにはすぐに産卵するという。
 日本列島には山脈や平野の起伏を縫い血管のように流れる河川が1万3千余もある。
 それらの川から文学も生まれている。国木田独歩は自然文学の代表作「空知川の岸辺」を書き、島崎藤村は「千曲川のスケッチ」で季節の詩をつづり、また有吉佐和子は女の一生を「紀ノ川」に託した。
 仁保川は源流を徳地町境に発して椹野川となり、山口、小郡、秋穂、阿知須へと流れ海へ注ぐが、その流域を結ぶ古代からの歴史もまた水脈に乗って貫流する。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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