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2005年01月30日

札の辻・21

 ことしの1月は寒さのきびしい日がつづき、雪を被った白い鳳翩がしばしば出現した。
 雪晴れの冬空を背景に切り絵のようにそびえる鳳翩の山容は、眺める場所によっては変化する。萩往還の天花集落のダムあたりから望む東南側の山頂の姿は、西中国山地の末端らしく稜線がなだらかである。
 一方、吉敷中尾台にある中世の凌雲寺遺跡あたりから眺める北西側は、鋭角に立つ山頂が間近に感じられ、とくに北西の季節風で吹雪く日なぞ峻烈な顔を見せる。
 白い鳳翩が鴻ノ峯や兄弟山を額縁にして風景画となるときには、ユトリロやモネ或いは郷土画家尾崎正章による「白」の魅力を感じる。彼等のデッサンは白を画面に固定させることにより、さらに白の持つ情感を昂めてゆく。
 このたびその東鳳翩が登山家岩崎元郎氏によって新日本百名山のひとつに選ばれた。
 1964年深田久弥氏は山の品格、歴史、個性そして標高1500㍍以上という観点から日本百名山を選定している。だがそれらの山岳を踏破するには相応の登山技術が要求される。
 岩崎新百名山は山の標高よりも全都道府県から選ぶことを条件に、低い山でも各々の地方の人が愛してきた山を選んだ。
 山口市内の小・中・高の校歌には、鳳翩山と椹野川が多く登場する。
 旧制山口高商にも寮歌があった。

 鳳翩の嶺低くとも
 椹野の流れ細くとも
 とこしなへなる山川は
 わが友垣の姿なれ
         と。
白い鳳翩に想う。 
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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