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2005年03月06日

札の辻・21

 -背筋をまっすぐにのばして目を閉じると、風のにおいがした-
 これは村上春樹の小説「めくらやなぎと眠る女」の書き出しである。
 風は目に見えない空気の移動する現象で、科学的に言えば高気圧の空気が低気圧の空気の方向に流れるときに起きる。
 平川の高倉荒神の祭りが終わり、3月の声を聞くと山口盆地に吹く風は、雪のにおいから、梅のにおいに変わってくる。
 奈良東大寺では旧暦の2月1日からはじまる修二会(お水取り)の行事のひとつ「お松明」で、燃える松明の最後の炎が消え、あたりにたちこめていた煙が風に乗って去ると、闇の中に梅がにおいはじめるという。
 奈良時代に中国の江南地方から、多くの文物と共に渡来した梅は、その香りと花のやさしさが日本人の心をとらえ、万葉集に歌われた梅は萩の140首につぐ100余首で、桜の40首をはるかにしのいでいる。
 梅はあまり大木にもならず、樹幹は風雅に屈折し、枝張りが多く白または紅の花に気品があり、日本の家屋や庭によく合い、樹齢も長く古木ほど野趣を深める。
 梅は桜やリンゴと同じバラ科だが、早咲きのため蕾は低温でも発育し雪が消える頃開花する。
 山口では瑠璃光寺の白梅、紅梅が有名だが、明治31年に哲学の教授として山口に住んだ西田幾多郎は、
 「2月16日、方便山の下ヘユキ梅ヲ探ル」と西田日記に書き残している。二ッ堂の梅だろう。
 3月の風は野焼きのにおいを枯草の灰でつげる。
 椹野川に冬鳥の北帰行が近い。     (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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