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2005年05月08日

札の辻・21

 県立美術館に興福寺国宝展を観る。
 わが国の文化財保護に関する法律が決められたのは、1897(明30)年の古社寺保存法からで、以後1929(昭4)年に国宝保存法、そして1950(昭25)年には文化財保護法が制定され、特に国宝は重要文化財の中でも世界的な文化遺産として歴史・芸術の視点から価値高いものに位置づけられている。
 700年代に建立された興福寺は、朝廷からも手厚く保護されたいわゆる国の寺である。そのため寺宝の数々には多彩な技法でつくられた天平仏の美が秘められている。
 仏像はインドから中国、朝鮮半島を経て仏教伝来と共に日本にもたらされた。奈良時代になると盛んに造寺・造仏が行われ、天平期は日本彫刻史の黄金時代ともいわれ、今回の国宝展にみる如く見事な仏像が多い。
 まず会場の入口付近にある四天王立像は、昨年の周防国分寺展での四天王立像でなじみ深いが、持国、増長、広目、多聞共に、後背部に飾す輪光の形が国分寺のそれと異なっており、炎に薄赤い着色が見られる。
 今回の仏像群の姿には克明な彫塑により内面から浮かぶ精神性が感じられるし、特に定慶の維摩居士座像は、解説にはきびしさが指摘してあるが、むしろ語りかける慈愛が漂っていると思った。
 運慶の力作である無著菩薩立像と世親観音立像には煩悩に対じする人間的な悩みすら偲ばれる。
 各々の塑像を見ていると仏像伝来当初の技法が日本的に変化しているようにも思える。
 いま美術館通りは薫風がそよぎ、仏像展には新緑が似合う。   (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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