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2005年06月05日

札の辻・21

 あるグループの研修小旅行で、長門市深川の古刹大寧寺へ参詣する。
 山口からバスで長門市までは新緑の山々と麦秋を迎えた田園地帯で、ヤマボウシの白い花やネギ坊主に風光る初夏の風景がつづく。
 大寧寺は1390年代(応永年間)創建の禅寺で、1551(天文20)年には大内義隆が逆臣陶隆房(晴賢)に攻められて自刃した寺として知られている。
 「陰徳太平記」に次の一文が記されている。
 「義隆卿は雨の如くに矢の来りけるを御覧じて、流れ矢にあたりて死せんより、引き返して討死せんとて馬の頭を引返し、いつしか大寧寺へ入り給ひけり」と。
 義隆の遺体を葬る火によって本堂は焼失したが、その後再建され中世以降は末寺が周防、長門のほか山陰、九州にまで及び、禅林の大寺としての名を維持した。
 境内には松、樫、楓などの大樹が700年に及ぶ歴史を秘めて、青葉風にゆれていた。
 寺僧の指導でグループ一同座禅をする。
 中国は少林寺で面壁九年の座禅を行ったという達磨大師流の曹洞禅である。
 無念無想の境地に入るのだが、凡人の耳に野鳥の声と久しぶりの松籟が伝わる。
 座禅のあと方丈岩田啓靖禅師から大内義隆の最期をふくむ寺の由来を聞く。法衣姿の禅師の姿には県立大学学長の職とは別の、むしろ僧門統帥の風格すら感じられた。
 大寧寺近くのホテルで昼食、新鮮なイカ刺がうまい。
 それから仙崎へ、トンビの舞うみすゞの海は青かった。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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