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店長情報

2005年06月26日

札の辻・21

 入梅の時期から旬を迎えるものにハモがある。
 ハモは梅雨鱧ともいわれ、6月になると京都や大阪など関西ではハモ料理が人気で、とくに大阪の天神祭、京都の祇園祭には欠かせない食材となっており「まつりハモ」との呼称もある。
 ハモは紀淡海峡から瀬戸内海、九州にかけて水深30~90㍍前後の砂泥や岩礁の点在する海底に生息する。
 古くから「京都のハモは山でとれる」という言葉があるが、これはハモのもつ強い生命力を表現したもので、昔は海産の魚を内陸部に送るのは大変であった。わけても京の都の需要に応じるには苦労が多い。あるとき山崎街道あたりの山道で魚箱からハモが逃げ出し、それを村人が拾ったところ、まだ生きていたという故事による話である。海から遠い京都ではハモと若狭湾から鯖街道で運ぶ塩サバが珍重された。
 京都ばかりではない。周防山地の山村で育ったわが子供時代、夏祭りには海の町から自転車にトロ箱を乗せ、氷詰のハモを魚屋さんが持ち回った。ハモの口には延縄針がまだ残っており、鋭い歯がのぞいていたことを覚えている。
 いま湯田など市内の料理店でもハモ料理が出ている。ハモは「1寸(約3㌢)を24に切る」という骨切り包丁を使い、切りおとし、照り焼、ちりなど種々だ。夏のハモや冬のアンコウを山口の味として広めたい。
 わが家では毎年父の日に娘たちからハモの味が届く。昨年は京都・權太楼の焼鱧で、ことしは京都大徳寺門前は和久伝の鱧茶漬だった。
 目じりを下げて鱧が鱧を食う。      (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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