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2005年08月07日

札の辻・21

 三伏の夏--ということばがある。
 「夏は火なり、秋は金なり、火の盛んなる時節なれば金気も伏す、を転じ挨拶では酷暑の候を指す」と辞典にある。
 その酷暑の中を岩国、萩、長府の古い街並みを2日がかりで歩いた。
 これらの町は、いま江戸時代以来城下町であった面影を生かすために、町名の再標示や石畳の道そして土べいなどを修復保存し、その歴史的たたずまいを残した街づくりを進めるという共通点を持っている。
 江戸幕府から諸候に準じる処遇をうけた岩国藩6万石の城下では、材木町、魚町、塩町、米屋町などの旧職人町の中にめずらしく玖珂町、柳井町などの町名がある。旧藩時代に玖珂から15軒、柳井からは38軒もの商家が各々岩国城下で商いをしていたことのゆかりから、往時の町角に古い町名を標示した。
 まちじゅう博物館を目指している萩市では、ここ2・3年来の充実ぶりを思わす町の姿が目を引いた。たとえば従来の呉服町通りや武家屋敷通りのほかに、中津江橋、橋本橋、それに玉江橋の周辺にも毛利3百年の道のりを偲ぶことのできる整備が進行中である。
 古川薫氏は言った。「長府で目にふれるものは、ほとんどが歴史のかたみであり、それは歴史の化石でもある」と。事実、古江小路や横枕小路など侍町を歩くと、重い歳月を重ねた土壁の中から先人のつぶやきが聞こえてくるような気分になる。
 岩国・萩また長府の城下町では、いずれにも夾竹桃、百日紅、木槿が炎天下にゆるぎもせぬ花枝をひろげていた。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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