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2005年10月23日

札の辻・21

 10月8・9日の両日、山口市内は各種の行事にいろどられた。
 まず8日は10回目を迎えたアートふる山口のオープニング・セレモニーが行われ、午後からは山口青年会議所の創立50周年記念式典が、そして翌9日には陸上自衛隊山口駐屯地の創立50周年で駐屯地が一般市民にも開放されてにぎわった。
 その9日の夜、真昼の秋の陽の暑さを忘れるようにさわやかな夜風の中で、青くライトアップされた瑠璃光寺の五重塔を見に行った。
 山口盆地を囲む山々の稜線が薄墨色に溶けて、おあつらえむきに西の空からは栗名月に近づく月齢6・7の月が出てきた。
 司馬遼太郎が紀行文学「街道をゆく」の中で「駆けて行って塔の下までたどりついたときは、正面の塔の古色が尋常でないために、自分が幻想の舞台にとびあがってしまったようだった。(長州はいい塔をもっている)と惚れぼれするおもいであった」と書き、やはり昨年の秋、台風の翌日瑠璃光寺を訪れた作家の五木寛之が「猛台風にもゆるがぬ塔に、改めて大内文化の力強さを識った」と著作「百寺巡礼」に書いたごとく、この夜の塔は中国の文化を積極的に求めた「唐様」の室町建築がもつ雄渾と優雅の姿を、5層の塔屋に青く浮かび上がらせており、とくに塔の最上部にある相輪は、ひときわ青く闇の中にきわ立って見えた。
 塔の下部から、白妙の衣装をまとった中世の女性が現れてくるようで司馬遼太郎の幻想の舞台に通じるものを感じる。
 コミュニティバスに乗りゆっくりと帰る。塔がとっても青いから。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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