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2006年06月18日

札の辻・21

 万緑の中に堂々と建つ太宰府の九州国立博物館で「うるま・ちゅら島・琉球展」を観る。
 うるまとは珊瑚のことで、ちゅらは美しいの沖縄ことばという。
 10世紀の古代琉球時代から、明治の廃藩置県に至るまで、約500年にわたり沖縄の島々が歩んだ証しが、ひとつ、またひとつと陳列されて、それを見る毎に歴史の歯車が巻き戻されていく。
 印象に強く残ったものに銅鐘がある。琉球国の尚真王時代に、最高の格式をもった臨済宗寺院円覚寺のもので、弘治8(1495)年、周防国大和相秀作の銘がある。
 防府兄部家の古文書によると大和相秀は、当時大内氏統治下にあった防府在住の鋳物製作者である。その時代から防府は鋳物工業が盛んで、中世から江戸時代に及び、鋳物師の地名が今も残る。徳山遠石八幡宮、長府忌宮神社の銅鍾も同時代大和氏によって造られた。
 1495年といえば大内氏は義興の頃で、雪舟が大作「山水長巻」を完成させている。
 興味深いものに13・14世紀の琉球が日本、朝鮮、中国、タイなどと交流した時代の「琉球交易図大屏風」で、那覇港の賑わいが画かれていた。
 満艦飾の交易船5隻はいずれも3本マストで、その1本には七曜星をデザインした北辰権現の幟がひるがえり、大内氏の始祖といわれる百済王の北極星信仰と重なる。
 銅羅と帆船に、古くから大内氏の琉球王国との関わりのあったことを知る思いだった。
 見学2時間、蛇皮線と紅型衣裳と泡盛の古代酒器に思いを残し、太陽・海・花のテーマで構成された会場を出る。
         (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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