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2006年10月01日

札の辻・21

 古都の歴史的建造物を考察する会に参加し、奈良・京都で唐招提寺、薬師寺、上・下賀茂神社、醍醐寺、銀閣寺、今宮神社など見学した。そのうち薬師寺と醍醐寺では五重塔に注目する。
 「大和はくにのまほろば」と万葉ことばも残る奈良盆地には五重塔がよく似合う。薬師寺の与楽門から塔までの参道には、ムラサキシキブとシロシキブがたわわに実をつけていた。昭和に再建された西塔とは別に、建立1300年を経た東塔は「凍れる音楽」と呼称されるように、重厚な甍が律動的な美しさを重ねる。

 逝く秋の大和の国の
 薬師寺の塔の上なる
 ひとひらの雲 信綱

 この日の新秋の空にはひとひらでなくウロコ雲があった。 
 奈良から京都へ近鉄特急の沿線にはマンジュシャゲの赤い色が連なる。
 京都では山科の里を過ぎ旧奈良街道に近い醍醐寺の五重塔を見学。ヒノキ、スギ、アラカシの樹林に囲まれた塔は、951(天暦5)年に完成し、日本仏教史に歴程を残す荘重さが塔壁の古色に偲ばれた。
 京都の最後は平安時代に造営の今宮神社に参拝し参道にある茶店かざりやで名物の「あぶり餅」を食べながら、奈良・京都の五重塔の遠い歴史には及ばぬが、山口瑠璃光寺の塔には端正な品格があり、比較して見劣りはしないと思った。
 作家五木寛之は瑠璃光寺の塔を見て「塔の美しさは圧倒的で、感動をおぼえずにはいられなかった。意匠と技術の見事な調和である」と著書「百寺巡礼」に書く。  (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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