2006年10月15日
札の辻・21
マンジュシャゲは早々と色褪せ、秋の七草のススキが中秋の月に合わせるように穂を伸ばしてきた。この時季になると思わず口をついて出てくる歌がある。
白玉の歯にしみとほ
る秋の夜の酒はしず
かに飲むべかりけり
その生涯を旅と酒に送った若山牧水の歌である。酒客と秋の夜を愉しく酌み交わすゆかしさが、季節感と調和しているのは牧水の天性のオリジナリティーだろうか。
先夜、湯田のホテルで「五橋を楽しむ会」があり参加した。
五橋は清流錦川に架かる錦帯橋からの命名で、1947(昭和22)年に戦後初の全国新酒鑑評会で優勝し、それまで主流だった灘の硬水仕込みに対し軟水仕込みの醸造が注目され、風土の自然を大切にする酒造りが地酒台頭のはずみとなった。
いま日本酒づくりは約120万㌔リットルで2千酒造場に及ぶ。近年は市販酒の成分について国税庁の科学的調査が行われ、県別による甘辛の比較も示されており、岡山・広島・山口など瀬戸内海沿岸の酒は甘口で、新潟、富山、高知は辛口の傾向があることがわかり、世間一般の評判を検査により裏付けたことになるのだが、新潟と高知は地理的にも関連はないのに、ともに辛口というのは越後と土佐の酒の肴には辛口が合うからだという説もある。
ともあれ五橋の夜を楽しみながら、山口県は地酒に恵まれていると思った。
酔うてこほろぎと寝
ていたよ 山頭火 (鱧)
白玉の歯にしみとほ
る秋の夜の酒はしず
かに飲むべかりけり
その生涯を旅と酒に送った若山牧水の歌である。酒客と秋の夜を愉しく酌み交わすゆかしさが、季節感と調和しているのは牧水の天性のオリジナリティーだろうか。
先夜、湯田のホテルで「五橋を楽しむ会」があり参加した。
五橋は清流錦川に架かる錦帯橋からの命名で、1947(昭和22)年に戦後初の全国新酒鑑評会で優勝し、それまで主流だった灘の硬水仕込みに対し軟水仕込みの醸造が注目され、風土の自然を大切にする酒造りが地酒台頭のはずみとなった。
いま日本酒づくりは約120万㌔リットルで2千酒造場に及ぶ。近年は市販酒の成分について国税庁の科学的調査が行われ、県別による甘辛の比較も示されており、岡山・広島・山口など瀬戸内海沿岸の酒は甘口で、新潟、富山、高知は辛口の傾向があることがわかり、世間一般の評判を検査により裏付けたことになるのだが、新潟と高知は地理的にも関連はないのに、ともに辛口というのは越後と土佐の酒の肴には辛口が合うからだという説もある。
ともあれ五橋の夜を楽しみながら、山口県は地酒に恵まれていると思った。
酔うてこほろぎと寝
ていたよ 山頭火 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻