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2006年12月17日

札の辻・21

 日が短くなり冬至も近い。
 冬至は太陽が北半球からいちばん遠くなる日で、日照時間がもっとも短く、もっとも長い夏至と比べると約5時間近い差がある。
 冬至にはユズ湯に入る風習が、5月は端午の節句のショウブ湯と共にあるが、この頃では年ごとにすたれてきて遠い日の想い出となってきた。
 ユズ湯は今流に言えばハーブ湯である。
 古代ギリシャ人やローマ人はラベンダーを風呂に入れて香りを楽しみ、絶世の美女といわれたクレオパトラは、バラの花精油を入れた風呂に毎日のように入浴し、薬効と香りを楽しみ「ハーバル・バス」と呼んだといわれている。
 ところでユズはサンショウと共に日本の香味料の双璧だとされ、どちらも持っているさわやかな季節感が日本料理を引き立てる。
 ユズの原産地は中国大陸の四川、雲南地方で古くから日本に渡来し、全国各地で育成され各地にユズの里があるが、山口県阿武郡川上村字遠谷(現萩市)の森林地帯に群生しているものは植生状態と地域性の沿革から、渡来種の野生化したのでなく、純自生種だとわかり国の天然記念物に指定された。
 東北地方ではマタギが出猟するときなど、ワッパいっぱいに飯をつめて、おかずにユズミソかトウガラシミソを付けるという。1961年に出された本朝食鑑にもユズミソのつくり方が載る。
 萩往還の天花六軒茶屋が廃屋になり、残された庭にユズの樹があって毎年初冬になると黄色く太い実をたわわにつけていたことを思い出す。    (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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