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2007年03月04日

札の辻・21

 めずらしく釣りの浮世絵ばかりを蒐めた絵とエッセイ「一竿百趣」が、東京・神田の「つり人社」から出版された。美女、町人、役者、殿様から浪人まで身分を問わず情緒豊かな構図と、鮮やかな色刷りの浮世絵100点のコレクションだ。
 大半は江戸や東海道五十三次に関わる釣り姿で広重作「大川端百本机之鯉釣」、歌麿作「大川釣あそび」、友景作「お茶の水釣人」や国芳、国貞作「五十三次吉原宿、桑名宿之釣」などである。
 ところで周防、長門にゆかりの絵が2点ある。
 1点は江戸末期の絵師貞秀作「西国名所之内・岩国錦帯橋」だ。解説に“錦帯橋は五連の木橋で日光の神橋、大月の猿橋と共に日本三奇橋の一つに数えられる名橋で、岩国という地名は万葉集に出るほど古い”とあり、絵は橋の近くでアユ釣りをしている釣り人二人が描かれている。なおこの絵は画集の裏表紙にもなった。
 いまひとつは浦島太郎の伝説を絵にした国周作「諸国名所之内・長門」だが、釣竿を肩にした浦島は歌舞伎の二代目沢村訥升扮する役者絵である。解説に“浦島の浮世絵は十指を超えるが、この絵の長門は現在の山口県で、ここにも浦島太郎の伝説があった”と書かれている。
 しかし浦島の伝説が長門にあるとは寡聞にして知らない。歌舞伎浦島の口上に長門が出てくるのだろうか。
 画集の巻末に墨刷りの「諸国大河番付」がある。利根川、信濃川、筑後川は三役級で、前頭に周防岩国川、周防佐波川、長門吉田川があった。
 江戸の浮世絵文化に周防、長門が登場。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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