2007年06月17日
札の辻・21
先日、県立美術館で開かれた第30回伝統工芸新作展を観た。
最高賞・田中講平作「青白磁草花文鉢」と朝日賞・大和努作「粉引葉脈彩二面稔花器」はどちらも大作で、時流と共に変化してゆく技法の新鮮さに魅力を感じた。
また入賞作には力作がそろっていたが、その他の作家連の花器や茶碗にも見応えあるものが多かった。なお、当日日本工芸会山口支部50周年を記念して行われた有田焼の人間国宝・酒井田柿右衛門氏の記念講演「柿右衛門の世界」を聞いた。
―ものづくりの人は人間らしく生きることだ。陶芸はロクロに精通する職人であることによってデザインも絵も生きてくる。
土にはそれぞれ個性があり、ロクロがたしかでないと土はいうことをきいてくれないと話し、江戸初期から中期にかけて中国・明時代の絵模様を単純化した工夫、元禄の美術文化の影響とオランダによる舶来文化現象をふくめた有田焼独自の赤絵の確立に至ったこと、そして度々訪中し中国・景徳鎮の赤と有田の赤、そして日本人の赤い色に対する感覚について述べ、伝統とはその技法を次世代へ伝えてゆくことにあると結んだ。―
赤絵といえば志賀直哉に「萬暦赤絵」という作品がある。昭和初期に中国旅行をし萬暦赤絵を探したが見つからなかったという筋で萬暦とは明時代の年号である。
柿右衛門の赤に大陸・朝鮮半島からの渡来文化の深さを思う。 (鱧)
最高賞・田中講平作「青白磁草花文鉢」と朝日賞・大和努作「粉引葉脈彩二面稔花器」はどちらも大作で、時流と共に変化してゆく技法の新鮮さに魅力を感じた。
また入賞作には力作がそろっていたが、その他の作家連の花器や茶碗にも見応えあるものが多かった。なお、当日日本工芸会山口支部50周年を記念して行われた有田焼の人間国宝・酒井田柿右衛門氏の記念講演「柿右衛門の世界」を聞いた。
―ものづくりの人は人間らしく生きることだ。陶芸はロクロに精通する職人であることによってデザインも絵も生きてくる。
土にはそれぞれ個性があり、ロクロがたしかでないと土はいうことをきいてくれないと話し、江戸初期から中期にかけて中国・明時代の絵模様を単純化した工夫、元禄の美術文化の影響とオランダによる舶来文化現象をふくめた有田焼独自の赤絵の確立に至ったこと、そして度々訪中し中国・景徳鎮の赤と有田の赤、そして日本人の赤い色に対する感覚について述べ、伝統とはその技法を次世代へ伝えてゆくことにあると結んだ。―
赤絵といえば志賀直哉に「萬暦赤絵」という作品がある。昭和初期に中国旅行をし萬暦赤絵を探したが見つからなかったという筋で萬暦とは明時代の年号である。
柿右衛門の赤に大陸・朝鮮半島からの渡来文化の深さを思う。 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻