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2007年08月25日

札の辻・21

 わが家の近くを椹野川に合流する仁保川が流れている。
 葦原の繁った川土手には旧盆を過ぎる頃から月見草が咲きはじめる。
 月見草は待宵草、大待宵草の別称があり、南米または北米から1850年代(嘉永年間)に渡来したという。
 草丈は60センチくらいだが、夕暮れになると黄白色四弁の清楚な花を開き、翌朝になるとしぼんで淡紅色となる。
 明治の生んだ詩人で画家の竹久夢二は、郷里岡山は旭川の河原に咲いた待宵草(または大待宵草)を見て「待てど暮らせど来ぬ人を」と、やるせない想いを月と花にからめ、待宵草を故意に逆さにして宵待草の歌を作詞した。
 作家の太宰治は代表作「富嶽百景」のなかで、
「私の目には、いま、ちらと見た黄金色の月見草の花ひとつ花弁もあざやかに消えず残った。三七七八米の富士山と立派に相対峙し、みじんもゆるがず、けなげにすっくと立っていたあの月見草はよかった。富士には月見草がよく似合ふ」と書き、現在、富士山を望む山梨県の御坂峠に「富士には月見草がよく似合ふ」と刻まれた太宰治の文学碑が建てられている。
 いずれにしても月見草の咲く8月下旬にもなると、残暑きびしいなかにも川面を渡る朝夕の風には、晩夏のもたらす涼感が秘められている。そして葦原の上には季節の句読点の如く、赤トンボが数匹姿を見せはじめ新秋が近づく。   (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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