2007年09月01日
札の辻・21
この夏届いた暑中見舞の中で、山梨県は八ヶ岳山麓に住むアルピニストの友人からのハガキには彼の夫人直筆の「赤富士」が画かれていた。
赤富士は、晩夏から初秋にかけて早曉の時刻に見られる現象で、昇りかけた陽光が薄くひろがりつつある雲霧にさえぎられて分光すると、富士の山肌が紅色に染まることをいう。太陽が昇りきるまでの、わずか20分から30分程度の時間帯で変貌する山容には神秘的な「美」が感じられ、ことに北麓の山梨側から望むことが多いらしい。
赤富士で印象に残るのは、現代画家のそれよりも江戸の画家葛飾北斎の「富嶽三十六景」であろう。濃淡のバランスがとれた赫い色の富士山頂の碧い空には、イワシ雲が画かれており季節感の漂う構図だ。富士山の表現には、何々富士と呼ぶ言葉が多い。初富士、朝富士、夕富士、遠富士など30を超える呼称がある。
ともあれ、暦は季語が示すように今日から、野分け、風の盆、天の河の9月となり、北斎の画くイワシ雲も見られるようになった。
イワシ雲は気象用語で巻積雲だ。通常高度5千メートルから1万3千メートルに現れる丸みを帯びた粒状の雲塊で、魚のイワシ、サバに見立て、呼称する。
山梨の友人は長いメディア生活から離れて、高度3千メートル級の山々に囲まれて暮らすが、元々山口県豊北町の出身で、タレクチイワシと生ウニの獲れる響灘の潮風が恋しいとも書いていた。 (鱧)
赤富士は、晩夏から初秋にかけて早曉の時刻に見られる現象で、昇りかけた陽光が薄くひろがりつつある雲霧にさえぎられて分光すると、富士の山肌が紅色に染まることをいう。太陽が昇りきるまでの、わずか20分から30分程度の時間帯で変貌する山容には神秘的な「美」が感じられ、ことに北麓の山梨側から望むことが多いらしい。
赤富士で印象に残るのは、現代画家のそれよりも江戸の画家葛飾北斎の「富嶽三十六景」であろう。濃淡のバランスがとれた赫い色の富士山頂の碧い空には、イワシ雲が画かれており季節感の漂う構図だ。富士山の表現には、何々富士と呼ぶ言葉が多い。初富士、朝富士、夕富士、遠富士など30を超える呼称がある。
ともあれ、暦は季語が示すように今日から、野分け、風の盆、天の河の9月となり、北斎の画くイワシ雲も見られるようになった。
イワシ雲は気象用語で巻積雲だ。通常高度5千メートルから1万3千メートルに現れる丸みを帯びた粒状の雲塊で、魚のイワシ、サバに見立て、呼称する。
山梨の友人は長いメディア生活から離れて、高度3千メートル級の山々に囲まれて暮らすが、元々山口県豊北町の出身で、タレクチイワシと生ウニの獲れる響灘の潮風が恋しいとも書いていた。 (鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│札の辻