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2007年11月24日

札の辻・21

『私は現在、(海の青)をテーマに陶筥を制作している。青の追求の上で、私の目指す色と「ピカソの青と緑」とが重なった。―中略―まさに情熱をかけた挑戦である。私のこうした造形への情熱は、ピカソに遙かに及びもつかないが、確かにピカソから得たものには違いない。』
 これは、このほど出版された=陶芸作家の造形思考―大和保男の自伝的陶芸私論=の文中にある一節だ。
 1901年秋からピカソに青の時代という一連の作品がある。過去の成果を反省しながら造形的想像力のひらめきを構図に表現した「バルセロナの屋根」など崩壊と秩序をデッサンと青い色彩でまとめている。
 大和さんは―ピカソ芸術に触れて以来五十数年、ピカソに陶酔・感動するのみではなく、あらゆる美の原点や心象的表現を探りながら、学びとることにためらいはなかった。そして、そこにはピカソの優れた感性とは別な職人的一面も発見した。―と書いている。
 先日氏の旭日小綬章受章と自著「陶芸作家の造形思考」出版の祝賀会に集まる270余名に対する謝辞で氏は「長い歴史の中から先人に教えられ
た芸術感を養い、新しい制作活動をつづけてきた。次代に何が残せるか、これからも思考と創造の道は限りなく続く」と述べた。
 有吉佐和子に陶芸小説「青い壷」があった。保男作「海の青」の陶筥に期待したい。 
        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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