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2007年12月08日

札の辻・21

 県立美術館で会期があとわずかになった「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」を観る。
 作品の展示は、1出会うまでのふたり、2出会いから同棲へ、3ニースへの旅立ち、4永遠の静寂-と、ふたりの画と愛の遍歴がたどれるように構成されていた。
 モディリアーニは、女たらし、酒浸り、アヘンやコカインにまで手を出す破滅型人間であったと評されているが、彼の画く人物像はいずれも似通っており、卵形又は球形の顔と長い鼻の線、視線の固定された眼、それを支える円柱のような首、そしてあくまで2・3色に限定した画面から表現主義的画家だと思った。
 ジャンヌの絵は理性的で鋭い。たとえば「ピアノを弾く人」の女性の譜面を捉えている眼や、「コーヒーカップのある静物」のリンゴには大胆な線に量感を持たせる。
 モディリアーニは人物画と裸婦像とわずかな風景画があるだけで、静物画は1点もないという。
 ふたりが同棲生活に入ると、ジャンヌの画法は明らかに変化したと感じる。画題の同様な「首飾りの女性」の眼の形にはモディリアーニの眼とに共通なものがある。
 また、ジャンヌの母の肖像画「キモノの女性」では黒く長い髪型と、襟と袖の模様に東洋的な情感が漂う。
 画展をあとに美術館を出ると、ジャンヌの風景画「中庭」に描かれている裸木のように、葉を落としたケヤキ並木があった。 
        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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