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2008年05月17日

札の辻・21

 大型連休中に下関へ行き唐戸の岸壁から、久しぶりに海峡の景色を眺めた。
 司馬遼太郎「街道をゆく1」の中に次の一節がある。
 ―私は日本の風景のなかで馬関(下関)の急潮をもっとも好む。馬関海峡(馬関とよぶほうが潮の色までちがってくる)は潮がはげしくうごき、潮にさからってゆく外国の大船までスクリューを掻き、機関をあえがせて人間のいとなみの可憐さを自然風景として見せてくれる―と。
 関門海峡の潮流は満潮のときは周防灘から響灘へと西流し、干潮では逆に東流して一日に4回その流れを変転させる。
 1550年、山口を目指すサビエルが唐戸にたどりついた上陸記念碑の前から眺めると、対岸の門司の山々は花ざかりのシイノキで黄金色に染まり、光景は急潮を航行する巨船と共に広大なパノラマで迫ってくる。
 40数年前に住んだことのあるこの町では、壇の浦の漁船でよく海釣りをした。あの頃と同じに満珠・干珠の島影を遠望していると、源平合戦から外国艦砲撃まで、この海峡は日本史にむき合ってきたのだという感慨が深くなる。
 作家古川薫氏は―海峡とは二つの海域を結ぶ運河であり、時代を暗転させる歴史の舞台となった海峡が地球上にいくつか存在し、関門海峡もそのひとつである―と。
 唐戸の岸壁に打ち寄せる潮騒が歴史の証言に聞こえてくる。        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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