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2008年06月14日

札の辻・21

 果物売場にサクランボが登場している。
 サクランボはバラ科に属し、中国や西南アジアにも原産地はあるが、日本では殆どヨーロッパ品種の甘菓桜桃が栽培され、山形にナポレオンや佐藤錦がある。
 サクランボといえば、ことしも作家太宰治の「桜桃忌」が近づいた。
 1948(昭和23)年6月19日、太宰は愛人山崎富枝と東京・三鷹の玉川上水で心中した。
 太宰は生前サクランボが好物だったことから、命日を「桜桃忌」と名づけられ、6月19日には三鷹市・禅林寺の墓前に文壇関係者や多くのファンが集まって偲ぶ会が開かれる。
 無頼派と呼ばれた太宰の代表作には「走れメロス」「津軽」「パンドラの匣」「富嶽百景」「斜陽」「ヴィヨンの妻」「人間失格」など。
 太宰治は中原中也とも交友があり、1934(昭和9)年に中也、檀一雄らと同人誌「青い花」を創刊し、太宰は創作「ロマネスク」を中也は詩「港市の秋」を発表した。太宰は26歳、中也が27歳のときだった。
 太宰治と中原中也には相似点もある。それは互いに青森と山口という日本列島の東端と西端にある故郷に絡む想念が、ふたりの心底には深く重く投影していたからだ。
 太宰の創作のひとつ「桜桃」には末尾に次の一節がある。
 「蔓を糸でつないで首にかけると、桜桃は珊瑚の首飾りのやうに見えてくる」と。
        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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