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2008年06月28日

札の辻・21

 入梅して間もなくツユの晴れ間に青梅の収穫をした。
 わが家の梅は20年前に庭木で移植した老樹だが元気で、早春には枝一杯に花を咲かせ晩春から初夏にかけて大ぶりな実をつける。
 日本の風土と梅の関わりは桜より古く、万葉集に登場する梅の歌は120種に及び、桜の40種に比べてはるかに多い。
 梅の原産地はこのほど大地震のあった中国は四川省の山岳地帯で、約700年前に日本へ渡来したという。
 梅といえば梅干である。日本で食用の梅干が文献に現れるのは、平安時代の中期946(天慶9)年の医書「医心方」に「うめぼし」として記録されており、鎌倉時代ともなると梅干は禅門で点心(茶うけ)とされ、武士階級にも普及してゆく。
 1860(万延元)年3月3日雪の朝、点心の澄子(梅茶)を一服して登城の大老井伊直弼は、桜田門外で待機していた水戸・薩摩の浪士たちによって斬殺される。
 食生活の変化で最近は梅干づくりの光景も少なくなってきた。
 二月三月花ざかり
 五月六月実がなれば
 枝からふるい落されて
 塩に漬けられ辛くなり
 紫蘇に染まって赤くな
 り 七月八月暑い頃
 三日三晩の土用干し
 これは1910(明治43)年制定の小学校唱歌「梅干の歌」の一節だが、梅干は古来日本民族のつくり出した塩・酸調和の風土食である。          (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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