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2009年03月07日

札の辻・21

 先週、大ステージを2千本の早咲き菜の花で飾るNHK大阪ホールでの、司馬遼太郎第13回「菜の花忌」に出席した。
 はじめに天皇家の人間関係を分析し、皇室のこれからを考えた「昭和天皇」岩波版を書き今回司馬遼太郎賞を受賞した原武史明治学院大教授の作品解説のあと、NHK古屋アナの司会で、シンポジウム「坂の上の雲-正岡子規とその時代の明るさ」がパネリスト中村稔(詩人)、篠田正浩(映画監督)、安藤忠雄(建築家)、関川夏央(作家)であった。中村氏は主に子規の人間性を、珍しく子規の短歌を解説しながら、古典文学を基盤とする子規学を語った。
 篠田氏は昭和ヒトケタの軍国少年時代をふり返り、明治と昭和の戦争比較、明治と現在の政治家比較にまで論及する。
 安藤氏は司馬遼太郎記念館を設計して、作家の作品と裏付資料の豊富さを体感したこと、個性が支え合った明治の青春の明るさを設計流に解釈。
 関川氏は子規の自意識の中には、常に死があったが俳句も文章も写生に徹し明るさを求め、生への執着を随筆「病床六尺」の食欲に見ることができると話した。
 古屋アナは「近代国家は維新成立の大目的であり、維新後の新国民たちには少年のような希望があった」と、坂の上の雲の一節を紹介しシンポジウムをしめた。
 満員のホールの前部、関係者席には福田百合子中原中也記念館長の姿も見えた。    (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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