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2009年08月22日

札の辻・21

  さる8月2日に野田神社能楽堂で行われた山口薪能を観賞した。
 シルエットを見せる鴻ノ峰の空から夕陽が反映する能舞台では、大鼓・小鼓のよく通る乾いた音につれて舞囃子、仕舞とつづき、薪の火入れ式があったあとに、太郎冠者役の野村萬斎の狂言「清水」がおもしろおかしく上演された。その頃から夕闇が訪れる野田神社の深い木立に起きたヒグラシの声が、舞台での言い回しの合間にタイミングよく聞こえてくる。
 小憩のあと、シテ粟谷能夫、ワキ森常好による能・鬼界島が始まると、能楽堂の上空が晴れ月齢(11.0)の満月にほど近い夏の月が昇り、まるで歌舞伎舞台の書割りを思わせる情景になる。
 江戸時代に芝居小屋で演じる浄瑠璃歌舞伎に対し、能狂言の伝統はそれより300年も古く、中世室町期に奈良や京都にある神社仏閣の空間に設営された舞台で公演する野外劇であった。
 ところが明治維新で幕藩体制が崩壊し能狂言は保護者を失い衰退するが明治新政府の体制が確立する明治10年以後、各流派を中心に復活、本舞台、橋掛りを備えた本格的能楽堂が各地に興る。
 鬼界島の終末では独り島に取り残される俊寛が、怒りと絶望に狂う時に中天の月は雲に隠れるが、離れゆく船影をあきらめで見送る場面では再び月は姿を見せた。
 能狂言にヒグラシと月が絡む夏の夜の叙情的舞台となる。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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