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2009年12月05日

札の辻・21

 ミッキーマウスのドール・オブジェに光ファイバーを使用し、やわらかく象形的に表現したメルヘンコーナーには和紙と光の融合するほのぼのとしたやさしさが伝わる。
 県立美術館で開催中の「堀木エリ子の世界展」を見た。
 和紙のもつ伝承文化をたしかめながら新しい可能性をもとめてデザインアートへ挑戦する数々の作品には、光天井、光壁、光柱など大胆にしかも繊細な制作意欲が見られ、光と和紙で綴るシンメトリーの通路には通る者に対し包み込まれるような空間が迫ってくる。
 堀木さんは1500年の永い歴史のある越前和紙づくりの工房で、自らも紙漉き作業をつづけながら日本和紙の精神性を体感している。
 越前(福井)で漉かれてきた和紙は主として奉書で、平安期以来朝廷や室町幕府の教書に使用される。越前が和紙技術に卓越していたのは、地域的に京の都に近く歴史的に神社・寺院が多いところからの需要がさかんで品質管理もきびしさを求められたからだという。
 和紙にある強靱な繊維質は楮、三椏の木皮が原料である。どちらも落葉低木で古くから山間部の山すそや田畑の岸や畦などに栽植されてきた。
 和紙と光のデザインによる巨大壁面やシャンデリアに、作者のもつ感性は図案、彫刻、設計、詩感に至る幅広い領域に及び孤高性がなく親近感すらにじむ。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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