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2009年12月26日

札の辻・21

 年の瀬も近くなった一夜、ニューメディアプラザ山口で「江戸糸あやつり人形」の実演を見た。
 浄瑠璃語り、三味線演奏、人形の動作が一体となってつくり出す人形芝居は、慶長年間(1596~1614)から江戸では歌舞伎狂言にも登場するほど江戸っ子たちの間で人気を呼ぶ。
 当夜は特別に設けられた江戸時代風の操り舞台の上で、かっぽれ、黒髪、酔いどれ、ショジョジ、獅子舞などの演目が、江戸糸あやつり人形遣いの上條充氏のあざやかな手さばきによって見物客は江戸情緒に引き込まれ、達者な人形の動きに魅了されてゆく。
 なかでも私は「沖の暗いのに白帆が見える、あれは紀ノ国みかん船」の三味線ばやしに乗ってくり出した「ひょっとこ」「おかめ」のかっぽれはたのしかった。
 かっぽれは幕末に起こり明治中期に全盛をきわめた俗謡に合わせる唄踊りである。豊年踊りともいわれ大道芸であったものが歌舞伎の所作事となり寄席演芸ともなった。樋口一葉の「にごりえ」、森鴎外の「雁」の一節にも若い娘によるかっぽれが書かれている。
 上條充氏は近年南米各国やパレスチナなどで公演し、人気を博しているが、ヨーロッパ各国のあやつり人形は、指先の動きにまで感性のつたわる日本のあやつり人形には及ばない。
 風花の舞う師走の寒さを忘れるひとときであった。また見たい。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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