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2010年02月20日

札の辻・21

 ―留萌の沖あたりから細い雨が降り出した。漁夫や雑夫は蟹の鋏のようにかじかんだ手を時々ふところに突っ込んだりする。納豆の糸のような冷い不透明な雨が海に降りつづけた。―小林多喜二の小説「蟹工船」の一節である。
 プロレタリア文学の中心的作家多喜二は今日と同じ1933(昭和8)年2月20日に非合法活動を糾弾する特高の拷問により、東京築地警察署で午後7時すぎ絶命したが30歳で当局は死因を心臓マヒと発表した。
 小林は秋田の大館生まれで、北海道小樽高商(現小樽商科大学)を卒業、北海道拓銀に勤めながら同人誌を創刊後「蟹工船」「不在地主」によってプロレタリア文学に傾注し銀行は解雇となる。
 彼の作品は特定の主人公を定めず典型的な人物像を描く手法で、全編に流れるヒューマニズムはユーモアにも溢れ外国でも翻訳された。
 小樽は石狩湾に面した港町で地名はアイヌ語のオタルナイ(砂だらけの川)よりの転化である。天然の良港で明治開国以来、ロシアをはじめ諸外国との交易や樺太との連絡港として、またニシン、カニ漁など北洋漁業の基地ともなる。
 北洋漁業といえば先月末に、日本漁船2隻が北方領土海域でロシア警備隊のヘリコプターから銃撃を受けた。
 明治から現在に至るまでオホーツクの波濤と海の男のしがらみは流氷のごとくつづく。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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