2010年04月10日
札の辻・21
古川薫著ものがたり英雄叙事詩「三国志・秋風五丈原」下巻が出版された。三国志は蜀、呉、魏による覇権争いの波乱万丈なる壮大なドラマで、黄河流域に発して長江に及び更に現在の成都を中心にした四川省、甘粛省奥地までが舞台となって展開する。
中国には往古から「中原を制するものは中国を制す」という言葉が残されている。
黄河は全長5464㌔で、その大部分は黄土大地であり降雨量は年間約16億㌧に達し、下流流域に運ばれる土砂は毎年約4億㌧に及ぶから、河床に堆積すると河床は年々10㌢程度上昇するといわれている。
この広汎な黄土大地に生まれた三国志は、歴代の中国歴史書の史記、漢書、明史などのように「史」と「書」でなくて「志」である。志は誌につながる群雄割拠の悠遠なる国土誌を意味する。
古川氏はあとがきで三国志に登場する人物は正確に数えるとおよそ4000人に及ぶが、今回はひとかたまりの単位制に解体し配列した分子記号のような世界で、それを有機的にしたと述べる。
叙事詩の終結は諸葛孔明の五丈原陣没で、哀惜の詩情を湛えた土井晩翠の「星落秋風五丈原」に余韻を残す。
北宋の詩人蒋之奇にも「五丈原懐古」がある。
長星墜つるなかりせば
中原を席巻する
未だ知るべからず
大陸からの黄塵に三国志を想う。(鱧)
中国には往古から「中原を制するものは中国を制す」という言葉が残されている。
黄河は全長5464㌔で、その大部分は黄土大地であり降雨量は年間約16億㌧に達し、下流流域に運ばれる土砂は毎年約4億㌧に及ぶから、河床に堆積すると河床は年々10㌢程度上昇するといわれている。
この広汎な黄土大地に生まれた三国志は、歴代の中国歴史書の史記、漢書、明史などのように「史」と「書」でなくて「志」である。志は誌につながる群雄割拠の悠遠なる国土誌を意味する。
古川氏はあとがきで三国志に登場する人物は正確に数えるとおよそ4000人に及ぶが、今回はひとかたまりの単位制に解体し配列した分子記号のような世界で、それを有機的にしたと述べる。
叙事詩の終結は諸葛孔明の五丈原陣没で、哀惜の詩情を湛えた土井晩翠の「星落秋風五丈原」に余韻を残す。
北宋の詩人蒋之奇にも「五丈原懐古」がある。
長星墜つるなかりせば
中原を席巻する
未だ知るべからず
大陸からの黄塵に三国志を想う。(鱧)
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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