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2010年06月05日

札の辻・21

 六月は水の季節である。梅雨は日本列島の宿命といわれている。一年を通じての降水量は約6千数百トンという。そのうち梅雨前線が刺激されて豪雨ともなれば、この時期の雨量が年間の最大比率を占める。
 しかし梅雨がなくては田植えはできない。田植えはアジア・モンスーン地帯独特の民族風景である。とくに日本民族は大陸系騎馬民族と南方系漁労農耕系民族の融合民族だとすれば、東南アジア諸国と同じ宿命で結ばれていることになる。
 ことしは5月下旬に走り梅雨らしき雨が多く、仁保川河畔に住んでいると例年よりも水域がひろく感じられる。
 川には貌があって表情もある。水は川底の起伏に応じて流れるので飛沫をあげて奔るかと思うと岸辺にまといつくようにゆったり流れたりする。
 山口市は西中国山地に囲まれた盆地であると共に水の町でもある。鳳翩山、高羽ヶ岳などの山ふところを発したいくつかの渓流が合流して椹野川を形成してゆく。
 「方丈記」には「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし」とある。
 仁保川の御堀橋を中心として川沿い道をよく散歩するが、薄赤いイタドリの太い芽がのぞく早春からカモの群れる初冬までの川面はいそがしい。
 時には上流より花筏も流れつく。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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