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2010年11月27日

札の辻・21

 先年他界した作家山口瞳が生前「夕刊フジ」に連載した「酒呑みの自己弁護」が、最近筑摩書房から復刊され、酒場での出来事、出会った人々の肖像、大相撲からプロ野球まで各々の時に接した哀歓をたどったもので読んで懐かしかった。
 懐かしいというのは、かつてある出版記念会で一度だけ氏と会い、築地ふく源の馬関ふくと大相撲魁傑の話でもりあがったことがあるから。
 いま大相撲は九州場所中である。あの頃山口氏は魁傑の相撲は柔道の足技が光るとほめた。その魁傑はいま放駒で相撲協会理事長の要職だ。
 当時酒呑みのポケットブックとしてお急ぎでない方にと寿屋の「洋酒マメ天国」という小冊があり、その第一号に岩波書店の会長の小林勇氏が「酒を呑むと人間は人格まる出しになるから面白い」と述べていた。その頃寿屋に渓流釣り用のポケット瓶?無頼派小僧?があり瓶に次の印刷があった。「安易な生き方は蹴っ飛ばす!無頼派(Burai-Ha)」は心に気魄をそそぐウイスキーで15年熟成させた秘蔵モルトをブレンドの仕上げに利かせた骨太の味わい華やかなり、その陶酔は孤高の精神を鼓舞する」と。
 当時寿屋の宣伝部にあって縦横に活躍していた山口瞳、開高健の両作家共すでに亡く、寿屋のお客様相談室によると無頼派小僧もことし3月で休醸したという。
 漢詩に曰く壮士去りて餘吟あり―と。(鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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