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2010年12月25日

札の辻・21

 小説、評論、ルポなど多様なジャンルにおける受賞作選考を長きにわたってつとめた作家五木寛之の選評集「僕が出会った作家と作品」の中に、わが畏友古川薫氏については次のごとき論評があった。
 「古川薫氏の実績に脱帽! 最多候補回数などいくつもの記録を重ねて受賞された古川薫さんにお慶び申しあげたい。今回の候補作のなかでは=漂泊者のアリア=が最も安定した作品的力量を発揮されていた。古川さんは作家としての実績においてすでに誰もが認めるベテランである。全選考委員一致の評価で今後の若々しい活躍を期待したい」とある。
 選考委員は五木寛之、平岩弓枝、藤沢周平、黒岩重吾、陳舜臣等で、1991年度の第104回直木賞受賞作である。
 受賞後91年の秋、毎日新聞から発刊の「完走者の首飾り」が手もとにある。その中に“「直木賞」とあゆんだ四半世紀”の随想があったことを思い出して再読した。
 『7時40分、電話のベルが鳴る。受話器をとった。古川さんという聞き覚えのある日本文学振興会からの声である。朗報直感。翌朝の各紙は=候補作10回65歳、史上最多作=が見出しだった。独りになると耳のなかに、
 あヽお前はなにを
 してきたのだと
 吹きくる風が私に云う中原中也の「帰郷」の一節が余韻をひくように聴えてきた』と。懐旧の足音はつづく。
        (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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