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2011年03月19日

札の辻・21

 2月の末から咲きはじめすでに満開をすぎようとしているわが家の野梅の近くに、アセビがひっそりと枝一杯に花房をつけているのを知った。3本あるアセビだが一本は2メートルを超えるほどになっている。
 アシビとも呼び漢字では馬酔木と書くが、これは馬が葉や茎を食べるとマヒする有毒成分を持つことからである。
 関東以西から中四国、九州の温暖地の山腹に自生するアセビはツツジ科の常緑性低木で樹高は2メートル前後が多い。
 庭木としても一般的で京都八坂神社の前庭に多く植栽されており、奈良の春日大社のは自生種だが有毒性を知っているのかシカが食べない。
 アセビは早春から花をつけるので万葉の昔から詩歌に多く詠まれた。
 山口市内にも鴻ノ峯や姫山、亀山などに自生のアセビは多く見られ往年は葉や茎の毒性を利用して畑作物の害虫駆除に利用されたこともある。
 しかし東日本にはまだ少ない。アセビは北は宮城県と岩手県の境まで分布圏を伸ばしてはいるが福島県の浜街道などに点在するほか、房総半島、関東平野ではさして多くは見られない。
 庭に野梅とアセビが花を飾ると近くを流れる仁保川の水がきらめくような日が多くなる。その川面を花陰からのぞくと旅立ちの近いカモの姿も見えて早春の川音は高い。
 山口盆地のアセビは梅ほどさわやかでなく静かな迎春花である。 (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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