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2011年04月02日

札の辻・21

 やはらかに柳あをめ
 る北上の岸辺目に見
 ゆ泣けとごとくに
        啄木
 北上山地を発する大河は、東日本地震地帯の山野と集落を縦断し、太平洋側の石巻湾へと流入する。石巻市では数千人近い人命が津波による犠牲に、3万人以上の市民が避難をした。
 その北上川の河口一帯では江戸時代にひとりの長州人と関わりがある。
 長州阿武出身の土木事業家・川村孫兵衛重吉が諸国を流浪中に、仙台藩主伊達政宗に登用されて伊達の家臣となった。
 政宗は川村を広漠たる領地の治水工事担当に命じ、1615(元和1)年から1624(寛永1)年まで石巻領の河川改修に当たらせ、約9年をかけ迫川と北上川の河口を合流させる大事業を完成させた。これにより流域の水害は減少し干拓、開墾の成果が進み米が増産され、石巻は北上川流域のセンターランドとして海運基地ともなる。
 寛永年間以後、仙台平野の産米は江戸の米相場を左右する程に至った。
 長州人川村孫兵衛はその没後、北上川改修の功労者として重吉神社が創建されて例年祭礼も行われてきたが今年は?
 山岳作家深田久弥に三陸海岸での随想がある。
―黒鵜が一羽岩の上に立っていた。断崖の中腹に叢林があり、これは白シャクナゲの群落だがまだ花には早い―と。
 今は鵜やシャクナゲどころではない。  (鱧)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)札の辻
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